2021年に99歳で亡くなった作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん。
生前の姿を間近で支えた元秘書・瀬尾まなほさんの著書
『寂聴さんと生きた10年』が文庫化されました。
今もなお、彼女の言葉は多くの人の心に残っています。
その中の一つ、深く印象に残ったエピソードがあります。
ある法話のあと、高校生の娘さんを突然亡くしたご夫婦に
向けて、寂聴さんはこう言いました。
「横にいるお父さんの気持ちを考えたことある?
あなたがそんなに泣いているから、
お父さんはいつまでも泣けないんだよ」
確かに、お父さんは涙をこらえていました。
家族を支えようと気を張っていたのでしょう。
でも、本当は泣きたかったはず。
その気持ちを、寂聴さんは一瞬で見抜いたのです。
わが家のチチは、また別のタイプ。感情に素直で、ちょっと
(かなり?)わがまま。家族の中で一番自由に泣いて笑って
怒ってきた人かもしれません。
「お父さん」という存在が、いろいろと心に沁みた一言でした。